■ 歯科 治療 ユニット 内 水 の細菌学的検討

◎ 日本環境感染学会の「環境感染(Vol.17,No.1,2002)」ー第17回 総会学術集会プログラム・抄録号ーより抜粋

【背景】
  歯科治療は侵襲的処置であるため、易感染患者治療においては治療関連器具、物質の微生物学的安全性の保証が
  重要である.
  しかし、我国には歯科治療に用いる水に関する基準がなく、ほとんどの病院では一般上水道水を歯科治療ユニット内
  水(及びうがい水)として使用しているのが現状である.
  今回我々は、より微生物学的安全性の高い水質を確保する活水器を開発し、その効果を検討したので報告する.

【対象・方法・機関】
  東京大学医学部付属病院顎口腔外科外来診療室で、1998年3月に使用開始した同型歯科治療ユニット2台のうち、
  1台(Aユニット)に同年10月に活水器を設置し、もう一方(Bユニット)には設置しなかった
  設置後も設置前と同様に両ユニットを使用した.
  2000年8月から12月までの期間中、両ユニット各部位(エアタービン・トリプルシリンジ・コップ給水)より
  5日間経時的に採水し水中細菌の種類および数を調査するコース(金曜日診療終業後から翌火曜日始業時まで
  6時点)を5回行い、活水器による除菌効果を検討した.

【結果】
  採水部位のうち、エアタービンでは月曜日昼休み、同終業後・同診療室施錠時間、トリプルシリンジでは金曜日
  終業後・月曜日終業後・同診療室施錠時間の角3時点においてAユニットの検出菌数がBユニットより有意に
  低かった(Mann-Whitney 検定、 p < 0.05 以下).
  Aユニットでは Pasteurella haemolytica、Pseudomonas sp,.
  BユニットではPseudomonas sp,. Acinetbacter calcoaceticus、A、Iwoffi、P.faemolytica 等を検出した.
  本件等では活水器使用によって、歯科治療ユニット内水の細菌数および細菌の種類が減少したため、活水器は有効
  であると考えた.